Tuesday September 20, 2005

US Market Recap

ベーブ・ルースとトップファンドマネージャー

ある大手企業が、20人のファンドマネージャーを使って、会社の資金を株で運用させた。一定期間が過ぎ、途中経過を報告させたところ、一つ腑に落ちない事が出てきた。最も優れた成績を上げたファンドマネージャーは、勝率が極めて低いのだ。ポートフォリオ全体の上昇率は文句無い。しかし、一つ一つ銘柄を調べてみると、下げ銘柄数が上げ銘柄数を、はるかに上回っている。何故こんなことが起きたのか、早速会社側はファンドマネージャーに説明を求めた。

「当たる確率はさほど重要なことではありません。大切なのは、当たった銘柄が、どの程度大きく伸びるかです。4社の株を買ったとしましょう。当然なことですが、3銘柄の損を小さく抑えて、残りの1銘柄で大きく儲けることができれば良いわけです。確かに個々の銘柄だけで見れば、3対1で下げの勝ちですが、ポートフォリオ全体はプラスになります。」

負け数が目立っても株で勝てる。三振が多くても、ベーブ・ルースのようにホームランを重要な場面で打てれば、株の世界で十分生き残ることができる。しかし、このやり方は言うほど楽ではない。1979年、ダニエル・カーンマン氏とアモス・トバルスキー氏は、こんな発表をしている。「利益と損が与える心理的影響は、圧倒的に損が利益を上回ります。比率にすれば約2.5対1です。」違った言い方をすれば、投資者はたとえどんなに損額が少なくても、心理的にはかなり大きなダメージを受けるということだ。

悪い打率で株の世界で勝つためには、強力な精神力が要求される。一つ一つの損で傷ついていたのでは、ベーブ・ルースにはなれない。「ベーブ・ルースは天才、そんな人と自分を比べるのは間違いだ」、と言われるかもしれないが、ベーブ・ルースは714本の本塁打を確かに打ったが、1330回の三振も記録している。一々三振する度に気を落としていたのでは、714本の偉業は達成できなかったはずだ。

スランプで全く打てない時、ベーブ・ルースは記者たちに、こんなことを言った。「相手ピッチャーが気の毒だね。これだけ打てないのだから、そろそろホームランがガンガン出る頃だ。」これが天才と凡人の違いだと思う。トレーダーたちもよく言うが、株は技術2割、精神力8割の世界だ。自分のルールに従って負けたのなら、必要以上に気を落とすことはない。繰り返すが、ベーブ・ルースは1330回も三振をしたのだから。

Stocks You Need To Know About

半値戻し

アスレチックシューズでお馴染みのナイキだが、好決算発表が買い材料となって、大きな窓を開けて取引が開始された。下の10分足チャートで分かるが、買い手の元気だったのは最初の20分だけ。やはりこれだけ上げれば、利食われても仕方ないだろう。

注目は12時半頃から展開された反発だ。先週金曜の安値と、今朝の高値で計算すると、ラリーは半値戻しのレベルで始まっている。おまけに強気な金槌も形成されているから、買い手たちは、この半値までの下げを期待していたようだ。

0919nike.gif

Wall Street English

荒れ狂うインフレ

明日のFOMC(連邦公開市場委員会)を控えて冴えないマーケットだが、マネー・マネージャーのポール・レビーン氏はこんな見方をしている。

However, beyond Monday's session, "we're due for a big correction," Levine said, noting that "oil is going through the roof, gold is going through the roof, and inflation is running rampant."

金とオイルの高騰、正にインフレが荒れ狂っている。大きなマーケットの下げを予想しているようだ。

 

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット