ホームランを捨てたヘッジファンド

ヘッジファンド、神秘的なイメージすらある言葉だが、これもミューチュアルファンドと同様に、個人や企業から集めた資金を使って、投資利益を上げるのが目的だ。あまり知られていないのだが、S&Pヘッジファンドインデックスという、ヘッジファンドの成績を見る指数がある。この指数によれば、先月7月、株に投資をする平均的ヘッジファンドは2.1%の利益を出している。

この2.1%という数字だが、3.6%の伸びを記録したS&P500指数には劣っているが、今年全体で比べると、ヘッジファンド指数は+3.2%、S&P500指数は+1.8%だ。好調な7月がヘッジファンドを優勢にした原因だが、これで3か月連続の利益となった。買いと空売りの両方が許されるヘッジファンド指数を、S&P500指数と比較するのは公平でない、という意見もあるが、一般的なヘッジファンドマネージャーの成績を把握するには、S&P500との比較が一番分かりやすいようだ。

ヘッジファンドアナリスト、ジャスティン デュー氏によれば、ヘッジファンドの投資スタイルは5年前とは、だいぶ変わってきているらしい。少し氏の言葉を引用しよう。「以前の典型的なヘッジファンドマネージャーは、ホームランを打つことばかり考えていました。簡単に説明すれば、将来性の抜群と思われる株を10買い、大きな値上がりを待ちます。もちろん、万が一に備えて空売りも入れておきます。しかし、今日のヘッジファンドは違います。ホームランを打つことは、もはや考えていません。マーケットの方向に関係なく、とにかく利益を上げること。それが第一の目標になりました。ですから、資金を減らさないことが重要視され、強いマーケットでも利益が地味になりました。」

長打を狙わず、ヒット打ちに徹する。これは私たちも利用できる投資スタイルだ。特に損を出した後は、このやり方を思い出さなくてはいけない。1000ドル、2000ドルと負けが続くと、次の銘柄で一気に全てを取り戻そうと躍起になってしまう。一発にかけるわけだが、こんな時は冷静さを失っていることが多いから、さらなる損失につながりやすい。まず頭を冷やすことを優先して、しばらくマーケットから離れることも大切だ。

しかし、なぜ先月ヘッジファンドは今年最高の利益を出すことができたのだろう。南カリフォルニアで、三つのヘッジファンドを運営するベン ボルスタイン氏はこんなことを語っている。「夏に良い結果を出すことは、他の季節より比較的簡単です。夏は出来高が減りますから、株が目標値に達しやすいのです。」これは格言と反対だ。ボルスタイン氏の言うように、夏は出来高が減る。だからこんな閑散相場が来る前に、5月に株を売って、しばらくマーケットから離れることが正しい、と一般には信じられている。なるほど、「人の行く裏に道あり、花の山」、というわけだ。

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